お正月が近づいてくると、子供の頃に見た映画を思い出します。小学校時代を、父の実家のある茨城県で過ごしましたが、この父がよく連れて行ってくれたのが、お正月の「寅さん」と「トラック野郎」シリーズの二本立て。
　今考えると、小学生にはちょっと早いのでは、という内容だったかも知れませんが、昔の大人というのは、こうやって自分勝手だったものです。とにかく、私はピンクレディーとかより、寅さんと、桃さんが好きでした。映画館によっては、「こら、子供は入っちゃいかん！」と言われてしまうこともあって、そんな時は、妹と一緒に、カウンターの下を小さくなって見えないように、入ってしまったこともありました。出てくるときは、もう仕方が無いので、何を言われてもかまわない覚悟で威張ってましたけど。

　昔話は置いといて。
　クルンクンの中心部、ケルタゴサの前、チャトール・ムカの像のあるロータリーを、北に約4キロ、ブサキ寺院やルンダン地区、または、ラフティングのスタートポイントに向かう途中の道で、トラックがたくさん止まっている地区があります。

　道の左右には、簡素な建物のワルンがぽつぽつと建っていて、たくさんの働く運転手さん達が、仕事中の空腹を満たしに立ち寄るのに便利な場所です。

　その中に、有名なワルン？があります。昔々、この道が出来た頃、まだ周辺には、他のお店が無かった頃から、豚肉のサテが食べられる、というお店です。

　遠くから見ると、こんな感じです。写真左側、こんもりと木が茂っている部分があります。

　だんだん近づくと、木の陰がワルンになっていて、お食事をしている人々の姿が見えてきます。

　そこで食べられるものは、こちら。豚肉のサテとスープです。
　豚肉のサテは、お肉もタレもたっぷり。赤みのお肉だけでなく、レバーなども適当に混ざっていて、辛くて甘い濃い味付けです。多目のご飯も、このお肉とタレで、ドンドンお腹に入っていきます。スープは、辛く熱く、サテを食べ終わった頃に飲んでも、まだ熱いです。最後に、ずずっとスープを吸い込み、甘いエス・テ（Es The　アイスティー）で、一息ついた後、ハードボイルドな余韻に浸りながら、ティッシュで思い切り、鼻水を拭かなくてはなりません。（すみません！）
　
　今回、主人と一緒に久しぶりに訪れたサテ屋さんですが、この日も、長い食台のほとんどが、トラックの運転手さんで埋まっていました。
　食べ始める前までは、いかにも、といった大きな声で、お話などしている運転手さんたちですが、サテが運ばれると、お皿が空っぽになるまで、皆、しんと静かになってしまいます。ですから、(ちょっと恐そうな）たくさんの人がいても、以外とお店の中は、静かです。皆、すぐ横の道を通る大型トラックの轟音などを聞きながら、黙々とお皿に向かっています。

　昔々、父と見た「トラック野郎シリーズ」の映画でも、こういった食事シーンが良く出てきましたっけ。男性ばかりの暑苦しい食堂に、ひとり素敵な女性が現れて、画面いっぱいに星がキラキラとあらわれて、桃さんが恋に落ちたりするんです。そんなシーンを喜んでいた私は、なんという子供だったのでしょう。。。

　さて、ここで見られる女性は、というと、家族連れのお母さんや、多分彼氏と一緒に来た女の子などは、お店で連れの人と一緒に食べていますが、楽しそうに賑やかに、おしゃべりなどしている人は少ないようです。黙って来て、黙って食べる、という雰囲気です。女性だけのお客さんの場合は、お持ち帰り用にブンクス（Bungkus）を待っている人が多いです。
　お世辞にも清潔とはいえない店内ですし、女性一人はもちろん、女性数名でも、ちょっと落ち着いて食べられないような雰囲気がありますが、それでも行ってみたい方は、同行者の男性などに助けてもらうようにしましょう。男性の方々にとっては、さりげなく、男らしさを表現できる、絶好の機会かも知れませんよ！

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