本日午前中は、大変清々しい気候でした。お昼くらいから天気が崩れ、少々強い風が吹き、雨が建物に吹き込んでくるようなお天気となりましたが、今日は朝から、イカット織りを開始するため、職人さんたちが準備を進めてくださいました。

　我が家では、もちろん今でもソンケット織りを続けております、現在までもこつこつと少しずつ製作を続けてきておりますが、伝統的な機織の村、シドゥメン村では近年グロジェックGelojegという機織機を使って（もちろん電動などではありません）織られる、イカットIkat織も盛んになってきております。

　ソンケットSongketは日本語で紋織りとなりますが、イカットは絣織り、となります。ちなみにバリ島では、イカットのことをウンダックEndekと呼んでおります。
　バリ島で一般的に作られているイカット、絣は、あらかじめ染めておいた横糸により、モチーフが織り出されるものです。ちなみにカランガッサムのトゥガナン･プグリンシンガン　Tenganan Pegeringsingan という村では、縦糸と横糸をあらかじめそれぞれに染めておいてから織られる、グリンシンと呼ばれる伝統的なダブルイカット経緯絣も作られておりますね。

　我が家の親類にも昔イカットを織っていた方もいらして、そのうち家でも織ってみたいね、と家族で相談したのは、数年前のことになりますが、ようやく今年1年ほどをかけて、道具や糸の準備を進めることが出来ました。
　遅々として進まないことの連続でしたが、ようやく縦糸の準備に取り掛かることが出来るようになりました。

　とはいえ、本格的な織りはじめまでには、これからも相当の時間が必要となってしまいそうですが、とりあえず本日は、ニュチュック　Nyucukという、縦糸をゴン（Guun　縦糸の上下を分けるしくみ）やスラット（Selat　織られた布の幅をそろえるための道具）に通して、機織機に取り付ける作業が行われました。

　ソンケットを織り始めるまでの準備の作業も、全て手作業、手間と時間のかかる作業の連続ですが、イカット織りの準備も大変な作業です。

　ステンレス製のゴンの小さな穴に、縦糸を1本ずつ通していきます。

　ニュチュックの作業は一人では行えません。こちら側の方は、縦糸を順番にそろえて1本ずつゴンの穴に通しやすくする作業をしております。
　向こう側の人は、鉤針編みの編み棒ような道具を使って、ゴンの穴から糸を1本ずつ引きだします。

　この後ゴンに通した縦糸を、上下1組ずつに揃えて、さらにスラットへ通していく作業があります。
　スラットへ通した後は、糸の張り具合やバランスを整えて、スコチ（sekoci　横糸を通すための道具、杼）が縦糸の間を丁度良く通るように調節します。

　写真は試し織りの様子。道具が新しいため、糸に負担がかかっているようですが、これからまたさらに、少しずつ時間をかけて、調整していくことになるでしょう。

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